自分に優しく

いつも自分の心を洗浄できる機会を探している。

 

クラエントさんに「不調の原因は心の傷ですから。」と言いながら、自分の心の中が混乱していたのではセラピストとして話にならないと思う気持ちから。

スポーツ選手が筋トレをするように、心トレをしなければ。

トレーニングで鍛えるというよりは、クリーニングで洗浄という方がピッタリかな?

心クリ?

一度クリーニングしてキレイになったと思ったのに、時間が経つと今まで見えなかった汚れが浮き上がってくる。

汚れの下に隠れていたもっと大きな汚れが。

 

それからいつものバロメーター測定、「今日の幸せ度は何点?」

家族が健康だし、気持ちの通う友人にも恵まれている。頭も心も爽やかだから今日は良い一日が過ごせそう。

85点!

(このスコアはとてもいい点だ。私は点数付けに厳しい。90点以上は息子の結婚式の日までは出ないだろう。)

何も特別良いことがなくても幸せ感が高い時は誇らしい気分になる。

でも時には何も悪い出来事がないのに

65点。。。

(これ以下のスコアはよっぽどの事がない限り出ない。一応安定していると自負している。)

何か気分が落ち着かない。どうしてだろう?何も思い当たらない。

こういうとき、「原因は絶対あるはず!」と意固地になる私。

これを毎日やる自分って、結構面倒くさい人かも。

 

 あぁ、幼少時代の満たされていない感情が、「洗浄して!」とまた呼んでいるようだ。

 

バタンッ!と音がしたので振り返ると、2列後ろに座っていた女性が椅子から落ちて前に倒れていた。

メディテーションのセミナーでの出来事。

私はすぐさま立ち上がり、空いている床のスペースに自分のブランケットを敷いて彼女が横たわれるように招いてあげた。

皆はそれぞれそのまま自分のプラクティスを続けている。

もちろん仕事柄、私はこういう場面ですばやく対処するのに慣れている。出しゃばっていると感じる事は今ではもうない。

ゆっくり水を飲ませてあげて、リラクゼーションのテクニックを施術した。

 

10分程すると彼女は気分が落ち着いたからもう大丈夫と起き上がって自分の元の席に戻ったので、私は自分のブランケットを床から拾い上げようとした。と同時に片足を布の上に乗せてしまい、そのままスルンと滑ってドンと尻餅をついた。

 

 あーやってしまった!

その瞬間、お尻の痛みとともにこんなバカな事で滑った自分に対する恥ずかしさと悔しさが込み上げてきた。

とっても痛い、なんだか涙が出そう。失敗が大嫌い!

いつ頃からか?思い続けているとても聞き慣れた言葉、

「失敗は許されない。」

 

そのとき横にいたご夫人が座り込んでいる私の肩に手をかけて「大丈夫?」と優しく声をかけてくれた。

皆はメディテーションのプラクティスを続けている。

どうしたんだろう? いつもの私なら「大丈夫です。」と直ぐに立ち上がるのに、

その時は肩に置かれたその手が逃げていかないようにすかさずしっかりと掴んでしまった。

 

痛い。でも誰か優しく慰めてとは言えない。

「我慢して立ち上がらないと。」

 

これって、小さい時いつも感じていたことだ。

今、尻餅と同時に幼少時代にワープしてしまっている。

6歳かしら?自分のカラダが小さく感じた。

 

遠い昔の記憶が呼び覚まされる。

一番だったのに褒めてもらえなかったこと。

頑張っても満足してもらえなかったこと。

転んで怪我をしても泣けなかったこと。

舞台で失敗したら、集中力と練習が足りなかったと叱られたこと。

泣いたら負け、もっと踏ん張れ!と自分に言い聞かせたこと。

 

苦い想い出がグルグル廻った。

 

いつものように我慢して立ち上がる?

それとも、弱い自分を認めて慰めてもらう?

 

どうしよう。。。

 

そのとき大人の私の声が聞こえた。

「もう我慢はやめて甘えていいよ。」

 

そう?いいかな?

いいよね。。。ちょっと素直になってみても。

 

私は心の中でそのご夫人に「少しの間ここにいて、慰めて下さい。」と言った。

彼女はあたかも私の言葉を聞いたかのようにスッともう片方の手を私の空いている左肩にのせて、座り込んでいる私の背中を後ろから優しく抱えるように身体を寄せてくれた。

まるで「辛いでしょ。甘えていいよ。」という風だった。

 

ご夫人の上品な温もりにしばらく甘えようと思った。

そうやってしばらくいると、安心感からお腹の辺りにある硬い冷たい塊が溶けていくのがハッキリと感じられた。

いつもコントロールしていることからの開放感とともに、暖かい液体が身体を流れ始め循環するのを感じた。

 

「大丈夫だよ。」という慰め、

「安心して、あなたのそばにいるから。」という温もり。

いつも心の奥で探していたものはこれだったみたい。今やっと素直に受け入れることができたんだ。

心が洗浄されて涙が溢れでた。

 

ふぅ〜。もう大丈夫。

ご夫人に「ありがとうございました。」と挨拶をして自分の席にもどった。

この機会を与えられたことに、そこにこのマダムがいてくれたことに感謝した。

 

「失敗は許されない。」

「失敗しないようにいつも集中して。」

「辛くても我慢して。」

これまで長い間自分を支えてきてくれたように思っていた聞き慣れた言葉。

もう必要ない。

 

さ よ う な ら 。

 

今日から自分に優しくなれる。

 

昼食後ご夫人が私のそばを通り、ニコッと笑顔をかわしてくれた。

すかさず彼女により歩み、こう伝えた。

 

「先ほどは私のお母さんになってくれてありがとう。ビックリされたでしょ?あなたの手を掴んでしまって。でもとても大切なことを体験できたんです。」

 

 

皆が自分に優しくなれば、地球に平和が訪れると信じて。

永田 友絵

 

 

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